会社の評価はなぜ歪むのか

勤め人

1.悪口と集団心理、そして組織の中の評価

会社という組織は合理的に動いているように見える。

成果を出せば評価される。
努力すれば報われる。

少なくとも表向きはそういう仕組みになっている。

しかし実際に組織の中で働いていると、必ずしもそれだけではないことに気づく。
評価は実力だけで決まるわけではない。

そこには、人間の感情や集団心理、そして偶然が大きく影響している。

最近、脳科学者の話を聞いていて、そのことを改めて考えさせられた。


2.悪口が脳に与える影響

脳科学者の中野信子氏によれば、人の悪口を言うことは本人にとっても良くない影響を及ぼすという。

脳は主語を完全には識別できないため、他人について語っている内容であっても、自分自身のこととして処理してしまうことがある。その結果、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、脳の老化や海馬の萎縮につながる可能性があると言われている。

つまり悪口という行為は、相手を傷つけるだけではなく、自分自身の脳にも負担をかけているということになる。

軽い気持ちで人を批判することは、思っている以上に自分の精神にも影響を与えているのかもしれない。


3.「他人の不幸は蜜の味」の心理

もう一つ興味深かったのは、「他人の不幸は蜜の味」という心理についての説明だった。

この感情は女性的なものだと思われがちだが、進化心理学の観点から見ると、むしろ男性的な集団行動に近い部分があるという。

人類が狩猟生活をしていた時代、集団の中にはフリーライダー、つまり自分だけ利益を得ようとする存在が現れた。

危険な狩りには参加しないが、成果だけは受け取る。

このような存在が増えると、集団の秩序は崩れてしまう。

そのため人間の社会には
フリーライダーを許さない心理
が備わったと言われている。

つまり

  • 一人だけ得をしているように見える人
  • 過剰に評価されているように見える人
  • 目立っている人

に対して、集団が無意識のうちに制裁を加える。

この心理構造は、現代の会社組織にもそのまま残っているのかもしれない。


4.成果を出すと嫌われる理由 ― 組織に潜む集団心理

振り返ると、組織というものは必ずしも合理的な評価だけで動くわけではない。

そこには

  • 人間の感情
  • 集団心理
  • 偶然

が強く影響している。

このような空気は、社会に出てから初めて感じたものではない。
思い返すと、学生時代にも似たような経験があった。

中学一年でサッカー部に入ったときのことだ。

練習中、先輩をフェイントでかわし、技で抜いたことがあった。
自分としては特別な意図があったわけではなく、ただプレーしただけだった。

しかし、その出来事を境に一部の先輩の態度が変わったのを覚えている。

また高校では、入学してすぐの春の大会でスタメンに起用された。
それ自体は嬉しい出来事だったが、ここでも一部の先輩の態度が変わった。

もちろん全員ではない。
しかし、こちらを見る目が変わった人がいたのは事実だった。

当時は理由がよく分からなかった。
「生意気な一年生だと思われているのだろう」と考えていた。

しかし今振り返ると、それは能力の問題というよりも
集団心理の問題だったのかもしれない。

組織の中では

  • 想定より早く評価される人
  • 目立つ成果を出す人
  • 期待以上の結果を出す人

に対して、周囲の空気が変わることがある。

これは会社だけではなく、学校のクラスや部活でも同じなのだろう。


3.偶然が作る評価

会社に入ってからも、それに近い出来事があった。

あるとき東南アジアの出張先で、会社のある方とホテルの朝食会場で偶然居合わせた。

以前から面識があったため挨拶をしたのだが、ビュッフェ形式だったので自分は別の席に行こうとしていた。しかし、その方がこちらを探しているように見えたため、同じテーブルで食事をすることになった。

そのときの会話は、ほとんど覚えていない。

ただ一つ覚えているのは、その国の食事が口に合わないという話だった。

それだけの出来事だった。

しかし後になって、その出来事が思わぬ形で影響を持つことになる。

その方が会社のトップになった後、予算会議の場でその思い出話をするようになったのだ。

会議の空気を和ませる雑談だったが、それは同時に私の存在を目立たせることにもなった。

特別なことをしたわけではない。
それでも組織の中では「目立つ存在」として認識されてしまう。

そしてそれが、周囲の反感を生むこともある。


4.まとめ

組織の評価は、必ずしも合理的な仕組みだけで決まるわけではない。

そこには

  • 人間の感情
  • 集団心理
  • 偶然の出来事

が大きく影響している。

目立つ成果を出した人が必ずしも歓迎されるとは限らず、ときには嫉妬や反発を生むこともある。それは会社だけでなく、学校の部活でも同じことが起こる。

こうした現象は不合理に見えるが、人間が集団で生きてきた歴史の中で生まれた心理の一部なのかもしれない。

だからこそ、組織の評価そのものに過度に依存するべきではないのだと思う。

会社の評価は変わる。
上司も変わる。
組織も変わる。

しかし 実力だけは自分で積み上げることができる。

長い目で見れば、それが最も確かな資産になるのだろう。

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